証明の出発点

数学的帰納法では,帰納部分の証明がメインになりがちですが,実は出発点の証明が重要です.これがなければ,帰納部分が正しくても間違った結論を引き出せるところが帰納法の怖いところです.
というところで現実に戻って.うちの研究室は今週引っ越しを (といっても 100 m ほど) したのですが,私は今日引っ越し後初めて引っ越し先に行きました.で,荷物開けなきゃなぁとか,開けなくても PC だけあれば暮らせるなとか,考えていたわけです.しかしそれは大きな誤りでした.私はこのとき,出発点の証明の重要性を見落としていたのです.そのため,実際には机・椅子等の清掃にそこそこの労力を要したのでした.
つまりこういうことです.当たり前ですが,普通に使用している机はある日いきなり埃まみれになったりしないので,帰納的判断によって快適に使用することができます (昨日きれいだった→今日もきれいである).しかし出発点,引っ越してきた当初の状態に関しては,帰納は何も教えてくれません.ここでは,机は耐え難いほどに汚れている可能性があり,またさらには,その机は今まで他人が使用していたので,それは得体のしれない汚れというわけです.こういうものは大嫌いなので,相当の労力を費やして掃除をするはめになったのでした.全労力を傾けないのは,単に飽きっぽいからです (笑).