TeX ファイルを異なる文字コードの環境間で持ち運ぶ

ここでは Linux ←→ Windows で持ち運ぶケースを考えます.Windows で最も標準的に使用される文字コードは Shift-JIS であるため,Windows 用の (p) TeX システムは (Windows native 用の W32TeX, Cygwin 用のコンパイル済 ptetex3 ともに (参考: インストール(Windows) の編集 - TeX Wiki)) 標準コマンドでは入力ファイルの文字コードを Shift-JIS として扱います.一方,Linux 系環境では EUC-JP が使われることが多く,その TeX システムもそれに合わせてあります (一部 Fedora あたりでは UTF-8 が標準化したと聞きますが).ということで,ある OS で作ったファイルを漫然と持ち運ぶと文字化けに悩まされることになります.しかしどちらのコマンドも,標準の他に JIS を入力ファイルとして受け付けるので,TeX ソースは JIS にしておけば持ち運ぶたびに変換の必要はありません.ここまでは基礎知識.
ですが昨日今日と持ち運ぶと,JIS にしてあるはずのソース (群) において文字化けが.なぜに…としばらく考えたり調べたりすると (この過程で Linux文字コード判別コマンド kcc を導入),生成済の参照ファイル (.aux, .toc 等のファイル) が引っかかっているんですね.画面出力と出力ファイルも,標準の文字コードの影響を受けるので.ということは,全部 "platex -kanji=jis" を使えば出力ファイルも JIS になるんで OK! …だがめんどくさい罠.入力もどこかに登録しない限りめんどくさいし,だいたいこうすると画面出力が文字化けするのですよ.(この辺で家に帰ってきて,Cygwin に kcc をわざわざソースからインストール (参考: kcc for Cygwin インストールメモ) して,さらにあとで Cygwin にパッケージのある新しい nkf (2.0.7) は -g オプションで文字コード推定結果が見られるので無駄だったことに気づく.)
なんとかならんのか,と思ったら,先人はさすが先見の明があって方法が用意されていました.

PTEX_IN_FILTER に、フルパスのコマンドが書いてあれば、入力ファイルをこのフィルタを経由して読み込みます。 "/usr/bin/nkf -j" などを登録すれば、入力ファイルの文字コードが何であっても処理できるので、便利です。 [new!] なお、"--kanji" オプションを指定するとこのフィルタは働かないようにしました。

UTF-8対応(5) - ptetex Wiki

ふむふむ,PTEX_IN_FILTER とな.試してみると確かにうまくいくぞ.採用っと.しかしこれって ptetex3 の独自拡張なんだろうなぁ.まぁ別にいいけど.