寒さに弱いこと *1

寒がっている友人を見て考えた.そういえば,ちょっと寒い,と思うたびに対応に困るのだ.
いや,あなたの言いたいことはわかる.何も困ることはない,寒いのだから着込めばよい.ひざ掛けと肩掛けとマフラーとついでに手袋でも装備すればよい.文明の利器,エアコンやストーブを使うのもよいだろう.ウォームビズ何するものぞ.
だが困る.まず,むやみに寒がっているとなんだか軟弱者という感じがする.かといって,平気なのは鈍感で繊細さに欠けた人間のようである.寒いけど大丈夫,というふうをすると,不要なところで強がっている馬鹿のようである.暖かくなる方法があるのになぜそうしないのだ,道具も使えないとはお前はサル未満か.*1
実はこのへん,二つの異なる要素が交ざりあっている.このことを確かめるために,「自宅で誰もいないときに寒い」 というシチュエーションを考えてみよう.どうだろう,「いくら着込んでもよいが,暖房はなるべく我慢しておこう」 と思わないだろうか.
思わない,という方は今後置いてけぼりになってしまうかと思われるが,もうしばらくおつきあい願いたい.だいたい,私もさっき自宅でストーブをつけたところであるので言行不一致なのである.では続ける.
私はここに提唱する.寒いときに困る理由は大きく分けて二つある.対個人的理由と,対社会的理由である.
対個人的理由にあたるのは,「寒いときに着込みたくない」 というほう,というより上に挙げたほぼ全部である.人と違う行動をあまり取りたくない,ということに根ざす発想である.だから周りに誰もいなければ気にしない.女子高生か,と思うがそもそも協調して生きるのが純日本人的性格である.アイアム大和撫子.嘘.
対して,対社会的理由というのは 「誰もいなくても暖房をつけない」 というほうである.これは,根本的に 「むやみにエネルギーを使っては,地球環境を傷めてしまう」 という発想である.かけがえのない地球と仲良くやっていきたいのである.アイラブ地球.こちらは本当.
さて,この区別は普遍的なものであろうか.つまり,「寒い / 寒くない」 以外の感覚的事象に通用するものであろうか.
ある程度は通用する,と思う.だが (実はここでは述べていないのだが) もう一つ,「寒い / 寒くない」 に限って困る理由がある.そしてこれに関しては,「暑い / 暑くない」 に関して適用すると印象のベクトルがほぼ反対を向き,他の感覚事象についてはおそらく適用できない.それが何なのか,は読者への宿題としよう.*2 *3 *4

*1:ちなみに,「室内ではコートを着ない」 というルール (というかマナー) を導入するとさらに話がややこしくなる.

*2:もし解答の要望があれば,気が向いたときに書きます.

*3:イヤラシイなぁ,コメント欄があるからって.

*4:脚注は入れ子にできないのか.残念.